洗い張りというのは、着物自体を一度すべて解いて、バラバラにし(トキ)、 つなぎ合わせ(ハヌイ)
一反の反物の状態にし、洗浄→湯のしをかける事です。
この部分までが「洗い張り」という事になります。
(トキ洗い張りとも言います)、その後、仕立ててまいります。
この度は、喪服(袷)の場合です。
嫁ぐときにもってきたまま、タンスの中に収納しっぱなしになっていたものです。
裏地全体が黄変だらけ、
そして、特に黄変の酷い部分の表地にもシミらしきものが出つつあると言った状態です。
これは、よく耳が痛いほど職人の父に聞かされている、
「裏地に黄変(シミ)が酷いと、ちょうどその部分の表地にもしみ出てくる」
という教わったケースそのままのお着物でした。
裏地の黄変(シミ)が酷い場合は放っておくと、絶対に表に出てくるのです。
ひどく表に出る前なら、裏地を新品のものに交換し、表地を洗い張りして、
仕立てると、新品同様の着物となります。
新しく購入するより、金額も安く付いてまいります。
ちなみに、洗い張りの作業を行っていますのは、すべて職人の父が行い、
あくまでも私は、見たり、聞いたりしながら学んでおります。
作業に入りたいと思います。お着物を一旦すべて解きます。
その後、ばらばらになった着物の部位部位をつなぎ合わせて、反物の状態に戻します。
これから、洗浄し、湯のしをかけていきます。
当店の洗浄方法としましては、着物を仕立てたままで洗浄するのと同様に行います。
その後、湯のしをかけてまいります。湯のしは反物の状態です。
丁寧に手作業ですべてしていきます。湯のしをかけますと生地が甦り、
風合いがでてまいります。喪服ですので黒色なのですが、同じ黒でも、
冴えた黒、沈んだ黒とありまして、この作業後の黒はとても冴えた黒に輝いてまいります。
その後、仕立てに入ります。仕立てが出来ましたら、当店では、
また立体湯のし仕上げをしていきます。その後、たたみたとう紙に入れて納品です。